2018年 10月 18日
蕗谷虹児「花嫁人形」について
私の住んでいる新発田市では新発田市出身の抒情画家・蕗谷虹児が作詩した「花嫁人形」を後世に歌い継ぐことを目的に合唱曲へ編曲した「花嫁人形」を課題曲とした全国合唱コンクールを毎年10月に開催し、併せて虹児のふるさとである新発田を全国に向けて発信しています。(「文化ふっとつ新潟!」ホームページより)
平成30年度は10月21日(日)に開催されます。 (詳しくは第21回全国「花嫁人形」合唱コンクールをご覧ください。) ※参考 第16回花嫁人形合唱コンクール 「花嫁人形」についての詳しい解説が池田百合子氏のウェッブ『池田小百合なっとく童謡・唱歌』に掲載されています。 そこで今回は「花嫁人形」を取り上げることにしました。 ところが困ったことに「花嫁人形」の歌詞には混乱が生じているようです。 3番の「泣けばかのこのたもとがきれる」が最近では「・・・・ぬれる」になっていることも多いようです。 どうやらその原因はこの歌が結婚式で歌われるようになって「きれる」では縁起が悪いということで作者(蕗谷虹児)自身が晩年になって色紙などに「ぬれる」と書くようになったからのようです。(森昌子も「ぬれる」と歌っていました。ネットで歌詞を検索すると「ぬれる」としているものも多いようです。新潟市にある作者の自筆の「歌碑」も「ぬれる」となっています。) 蕗谷虹児は「ぬれる」に変えたかったのではないでしょうか。 1966(昭和41)年11月に新潟市内に建立された歌碑に「ぬれる」と書いたのは設置する場所のことを考えてのことでしょう。 というのはもう一か所「あねさんごっご」を「姐さんごっこ」とわざわざ漢字にして書いているからです。 新発田近辺では「嫁さん」のことを「姉さ」と言います。(「姉さん」ではありませんが・・・。一般的には「姉様人形」などと言いますよね。) なのでお嫁さん遊びのことを「姉さごっこ」というのですが、「姐さ」では意味が違ってきます。 歌碑を設置する場所が古町芸妓さんの本拠地のいわゆる花街であること、また結婚式場でもある「ホテルイタリア軒」の脇ということもあってわざわざ言い換えたのだと思います。 その翌年、1967年(昭和42年)9月28日に講談社から初版が発行された蕗谷虹児の自伝小説「花嫁人形」にも「花嫁人形」の詩が掲載されていますが(260ページに掲載)、それには「たもとが濡れる」となっていました。 (この書籍はなかなか手に入りません。新潟県立図書館や他の公立図書館でも見つけることができませんでした。古本市場でも希少で8,000円程度の値が付いているようです。唯一、新発田市立図書館に2冊ありました。古書販売店から購入したとのことです。貸出不可です。蕗谷虹児の署名が記されていました。同名の詩歌集は復刻版が比較的流通しているようです。) しかし、作者の子で蕗谷虹児記念館の名誉館長でもある蕗谷龍生(本名は龍夫)氏は書籍「蕗谷虹児」の中で ~前略~ 「文金島田に」は「の」ではない。 「たもとがきれる」は「濡れる」ではない。 ~後略~ とはっきり書いておられます。(元々の詩がそうであったということでしょう。) 【参考:東京新潟県人会 第29回文化講演会】 2014年7月6日 東京新潟県人会館2階ホールにて 講師:蕗谷龍夫さん(蕗谷虹児記念館名誉館長) 蕗谷達夫氏講演会1/2「抒情画家:父 蕗谷虹児」 蕗谷達夫氏講演会2/2「抒情画家:父 蕗谷虹児」 「たもとがきれる」の変化の理由はわかりますが「文金島田に」の変化の理由はどうしてなのでしょう。 (そういえば小柳ルミ子、倍賞千恵子、渥美清などは「文金島田の」と歌っていました。) 今回は元々の歌詞で演奏しました。 「花嫁人形」2018/10/18収録(Gm H1 15 D5) <MIDI演奏>「花嫁人形」2018/10/14収録(Gm MIDI Ver5_5) 村上幸子「花嫁人形」 小鳩くるみ「花嫁人形」 「花嫁」<蕗谷虹児記念館のパンフレットより(一部修正しました)> ![]() ※白い角隠しにうっすらと浮かび上がって見える鶴の模様、 右目からこぼれる一粒の涙がよく見えます。 世良譲クインテット「花嫁人形」(ジャズ) Elvin Jones Jazz machine The doll of bride. 花嫁人形(ジャズ) Elvin Jones Jazz Machine 八ヶ岳ジャズ・フェスティヴァル '85「Doll Of The Bride」(花嫁人形)(ジャズ) 最後に1957年の日米合作映画「sayonara」の中で「花嫁人形」を歌うシーンを掲載しておきます。 (映画「sayonara」から抜粋) この映画がきっかけで「花嫁人形」の歌が世界に知られることになったそうです。 また「sayonara(サヨナラ)」という言葉が世界で通用するきっかけにもなったそうです。 それじゃ、bye-bye! ※このページは『オヤジが歌う「昭和の歌」』から転載しました。
by saryan00
| 2018-10-18 22:46
| 雑記
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